不動産投資の法人化を検討する人へ。融資面でのメリットや工夫を紹介
不動産投資を始めたいけれど、銀行から融資を受けられるか不安……。
すでに始めていて法人化した方がいいか分からない方もいると思います。
そこで、個人で不動産投資ローンを希望する場合と審査の違いや、銀行の融資審査のポイント、注意する点を紹介します。
また、個人で不動産投資ローンを希望する場合、不動産投資ローンの事前審査にご興味がございましたら、ぜひこちらの記事をご参考にしてください。
>>不動産投資ローン事前審査では、何が必要? 審査項目や期間などをまとめて解説
【目次】
①銀行による法人向け融資の審査ポイント
(1)法人の信用力と利回り
(2)融資を受けやすい銀行は?
②法人融資を受けるための決算書の書き方
(1)資金が多いことをアピール
(2)返済原資の豊富さをアピール
(3)事業の好調さをアピール
③複数法人を利用した、融資隠しは非常に危険
(1)複数法人を利用した悪質な借入
(2)失敗すると非常に大きなリスク
④まとめ
①銀行による法人向け融資の審査ポイント
不動産投資をする上でローンを組む方は多いと思いますが、通常の住宅ローン融資の審査とは異なりますし、個人が不動産投資ローンを受ける審査とも異なります。
個人の不動産投資では、まず物件自体の価値が重視されるとともに、個人の信用力が検討されます。
法人の場合は、もちろん物件自体の価値が重視されるのは同様で、その法人の業績のよしあしが重視されることになります。
審査にあたって法人の信用力が重視されるのは、個人の不動産投資ローンの場合は個人の信用力が重視されるのと似ています。
例えば、個人では、借りる人の職業や年収、勤め先、過去の借入状況によって融資可能かが判断されますが、法人では、法人の業績、過去の借入状況によって融資可能かどうかが判断されます。
不動産投資の融資の審査は、物件の利回りも重視されます。
利回りとは、物件の収益性のことで、購入して実際に入居者が入って利益を得られるかということです。
この利益(家賃収入)からローンを返済するので、金融機関はこれをチェックします。また、物件自体の資産価値もポイントです。
将来的に物件を売る可能性もあり、価格が高ければローンの返済に充てることができるためです。
一般的には、個人が不動産投資ローンを借りる場合より、法人の場合は金利が高く、また借入期間も短くなります。
過去の業績をみて融資可能かどうかを判断されるため、初めて不動産投資物件を所有すると同時に法人化を検討する場合、さらに金利が高くなる可能性もあります。
融資を受ける際には、法人の代表者として直接銀行と交渉する必要がある場合があります。
不動産会社がすすめる銀行があるかどうか、不動産会社に相談してみることもおすすめします。
②法人融資を受けるための決算書の書き方
不動産投資を法人化するためには、金融機関に決算書を提出しますが、ここでも融資を受けるためのポイントがあります。
それは、多くの資金があること、返済原資が豊富なこと、事業が好調であることの3点です。
まず、資金が多いことを分かってもらえば、その分融資を受けやすくなります。
資金の多さは自己資本比率のことですが、高いほど有利です。
基本的に、自己資本は毎期の利益から増やすのが理想ですが、短期的に増やす場合は、親族から身内での借り入れを行う場合もあります。
会社が返済などに充てる必要のない自由なお金(自身の貯蓄)が全体の資本調達の何%を占めるかを示す数値であり、自己資本比率が小さいほど、他人資本(借入金による資金など)に依存した不安定な会社経営を行っていることになり、会社の独立性に不安が生じます。自己資本比率が高いほど経営は安定し、倒産しにくい会社となります。換言すると、自由に使えるお金が多い(自己資本比率が高い)会社ほど、経営が安定していて優良と評価されます。
返済原資の豊富さは、当期利益と減価償却費を合わせた額が大きいほど有利です。
銀行は決算書から返済原資を判断しますが、減価償却費は非現金支出費用です。(帳簿上、経費計上しているだけで、実際の現金は動きません。)
そのため、フリーキャッシュフロー(法人の中に、どのくらい自由に使える資金があるのかを示したもの=法人の支払い能力)は、当期利益と減価償却費の合計額とみなし、多いほど自由に使えるお金が多いと考えてくれます。
所有する物件の収益性が高いことをアピールするのも大切です。
金融機関は借り入れ主の投資行為ではなく投資事業の成績見込みに融資するため、投資事業が好調(よく儲かる投資)であることを理解してもらう必要があります。
例えば、入居率が高ければ事業が好調で、不動産のマネジメント力があると判断してもらえます。
また、資産価値がローン返済額に近いとかそれよりも高ければ、万が一売却する場合を考えても安心してもらえます。
③複数法人を利用した、融資隠しは非常に危険
不動産投資を法人化する際に、気をつけなければならないポイントがあります。
それは、1物件1法人スキームで融資を受ける際、借り入れ情報を隠してしまう、ということです。
1物件1法人スキームとは何なのか、どのようなリスクがあるのかについて説明していきます。
1物件1法人スキームとは、1つの物件につき会社を設立するやり方です。
例えば3つの不動産を購入するときに、3つの法人を設立して、3つの異なる金融機関から融資を受けます。
不動産投資では通常、個人で金融機関から借り入れを行うと、信用情報(借入状況)が登録されるため、よほど多くの資産や年収がない限り、他の金融機関から融資を受けにくいとされています。
金融機関は貸し倒れのリスクを重くみることが多いことが理由です。
しかし、物件1つにつき1つの法人を設立すれば、それぞれの会社の信用情報は何も登録されていない状態なので、複数の金融機関から融資を受けることができると言われています。
個人で融資を受けるよりも、物件の数だけ利益を上げられますが、投資に失敗すると大きなリスクがあります。
1物件1法人スキームは、個人よりも多くの融資が受けられ、その分収益性やスピード感がありますが、失敗すると非常に大きなリスクがあるので説明します。
このやり方は、いわゆる多重債務にあたるので、金融機関が知ってしまうと融資の一括返済を求められるケースがあります。
こうした場合、複数の物件の売却や資金を調達する必要があるなどして、複数の金融機関に対応しなければならないので大変です。
一括返済までとはいかなくても、金融機関からしたら貸し倒れリスクを防ぐために、金利を引き上げられてしまうなどの対応がなされるかもしれません。 十分注意しましょう。
④まとめ
不動産投資の法人化を行う際、個人で不動産投資の融資を受けるよりも、金利が高く借入期間は短くなります。 そして融資を受けるには法人の業績・信用力に加えて、物件の利回り・資産価値も重視されます。
TAKUTO INVESTMENTではオーナー様皆様のお考えの投資プランに合わせて無理のない投資プランをご提案いたします。また、融資先のご紹介など投資前からのご相談だけではなく物件管理や大規模修繕のご計画などオーナー様の不安を解消できるようバックアップして参りますので、ぜひお気軽にお問合せください。